RC構造とは?木造との違いやメリット・デメリットを解説

突然ですが、みなさんはRC構造というワードをご存知でしょうか。RC構造とは、賃貸マンションや住宅などの構造を表す用語です。しかし、S造やSRC構造など似たようなワードが多数存在しているため、それぞれの構造の違いがよくわからない人もいるでしょう。

そこで、今回はRC構造に関する基礎知識について紹介します。また、ほかの構造との違いや、それぞれの構造のメリットとデメリットもまとめて解説するため、これから住宅の購入を検討している人はぜひ参考にしてください。

RC構造とは

RC構造とは、鉄筋コンクリートで建てられた建築物の構造の種類です。引っ張る力に強い鉄筋と、圧縮に強いコンクリートを組み合わせることで、高強度の建物を実現しています。鉄筋とコンクリートで形成するため、設計の自由度が高い点が特徴です。

都心の高層マンションやビルで多く採用されるRC構造ですが、ほかの構造とはどのような違いがあるのでしょうか。以下、主要な建築物の構造との違いの一覧になります。

S造との違い

S造とは、柱や梁など骨組みに鉄骨を使用した鉄骨造のことです。S造のSはSteel、つまり鉄を意味します。

RC構造とS造は、使用されている素材が前者はコンクリートと鉄筋、後者は鉄です。そのため、完成した建物の特徴はそれぞれ異なっています。

RC構造は、鉄筋とコンクリートを柱や壁に使用しているため、遮音性に優れているのが特徴です。一方のS造は、RC構造よりも通気性に優れているという強みがあります。

SRC構造との違い

SRC構造とは、Steel Reinforced Concreteの略で、鉄骨鉄筋コンクリートで建てられた建築物の構造のことです。高層建築物や大スパンの建築物を建てる際に用いられます。SRC構造の住宅の法定耐用年数は47年とされており、メンテナンスによっては耐用年数を超えて住み続けることも可能です。

SRC構造とRC構造は、どちらの工法も耐火性や耐久性、耐震性に優れていますが、前者は鉄筋コンクリートの柱や梁の中に鉄骨が入っているのに対して、後者は入っていないという違いがあります。

木造との違い

木造とは、読んで字のごとく木材で建てられた建築物の構造のことです。日本では古くから木造建築の建物が建てられており、世界文化遺産にも登録されている法隆寺は、世界一古い木造建築として知られています。

RC構造と木造を比較すると、建物の強度はRC構造に軍配が上がりますが、通気性の高い住宅を求める場合は木造がおすすめです。素材そのものに調湿効果があるため、雨の多い時期でも快適な住環境を保てるでしょう。

構造別のメリット・デメリット

RC構造をはじめ、建物の構造にはさまざまな種類が存在しており、それぞれの強みと弱みも異なっています。日本の建物の構造としてメジャーな木造、S造、RC構造、そしてSRC構造について、どのようなメリットとデメリットがあるのか順番にチェックしていきましょう。

木造

非木造化が進んでいる昨今でも、日本の9割以上の一戸建てが木造です。日本の伝統的な建築様式である木造ですが、具体的にどのようなメリットとデメリットが存在しているのか紹介します。

メリット

木造建築は、素材が軽く基礎への負担が軽いです。そのため、S造やRC構造と比較すると、全体の建築費用を安く抑えられます。

木造建築は素材が加工しやすく、基本的にシンプルな構造をしているため、設計の自由度も高いです。将来的に持ち家のリフォームやリノベーションを検討している場合は、木造建築にした方がよいでしょう。

また、燃えやすいイメージがある木造ですが、建築に使用される太い木は熱伝導率が低く、耐火性に優れています。断熱性も高く、外気の影響を受けにくいです。

調湿性や通気性の高さも、木造建築の魅力といえるでしょう。乾燥している時期は木材の水分が空気中に放出され、湿気の多い時期は逆に木材が空気中の水分を吸収してくれるため、日本の気候に適しています。

デメリット

木造住宅は、一定の耐震性は備えていますが、ほかの構造と比較すると耐震性が低いです。耐用年数も低いため、住宅性能を落とさないように定期的なメンテナンスをしなければなりません。

木造住宅の難点として、遮音性能の低さも挙げられます。自宅で楽器を演奏すると、外まで音が漏れたり、逆に外の音が家に伝わったりする可能性が高いです。そのため、木造住宅を建てる際は、床や壁を二重にするなどの防音対策をしましょう。

また、木材は品質にばらつきが生じやすい素材です。木材の品質は管理体制や職人の力量によって変わるため、木材の管理をしっかり行っている、信頼できる工務店やハウスメーカーに仕事を依頼してください。

そして、木造住宅は害虫による被害も発生しやすいです。とくにシロアリは深刻な住宅の劣化をもたらし、耐震性能も下がってしまいます。薬剤を散布するなど、新築の段階で予防策を講じましょう。

S造

細分化すると重量鉄骨造と軽量鉄骨造に分類されるS造には、木造住宅と同じく長所と短所が存在しています。具体的にどのような点がS造のメリットとデメリットなのか、順番にチェックしていきましょう。

メリット

S造のメリットとして、コストパフォーマンスの高さが挙げられます。とくに軽量鉄骨造は部品が安価で入手できるため、住宅であれば木造住宅とほとんど変わらない値段で建てることが可能です。

比較的安価で住宅を建てられるのは、部材の大量生産が行われているためで、そのおかげで建築材の品質も一定に保たれています。最初から部品が組み立てることで、工期の短縮ができる点もS造のメリットです。

耐震性の高さも、S造の大きなメリットといえるでしょう。S造の住宅は、地震が起きると鉄がしなり、エネルギーを吸収します。鉄自体も安定した素材のため、少ない柱の本数でもしっかりとした構造の住宅を建てることが可能です。

安定した構造のため、開放的な間取りも実現できます。倉庫など広いスペースを有効に使いたい場合は、S造がおすすめです。

デメリット

S造のデメリットとして、生活音が聞こえやすい点が挙げられます。重量鉄骨を用いたS造であれば多少の防音性は確保できますが、RC構造やSRC構造と比較すると音は聞こえやすいです。

そして、断熱性の低さもS造の見逃せない欠点でしょう。木材と比較すると、鉄骨は熱伝導性が高いです。そのため、外気の影響を受けて夏は暑く、冬は寒い住宅になってしまいます。

断熱性が低いと、結露が発生するため、湿気によって鉄が腐食して建物の強度が大きく低下してしまう可能性が高いです。S造住宅を建てる場合は、断熱工事や防湿工事は必ず行いましょう。

また、S造は耐火性も決して高くありません。火事が発生すると、熱の上昇とともに鉄骨が柔らかくなり、強度が落ちてしまいます。木材のように燃えることはありませんが、耐火性の素材も一緒に使用するなど、火災対策は必須です。

RC構造

鉄筋を組んだ型枠にコンクリートを流し込んで固めたRC構造には、木造やS造にはないメリットが多数ありますが、もちろんデメリットもあります。順番にチェックしていきましょう。

メリット

耐火性の高さがRC構造のメリットです。鉄筋とコンクリートは燃えることがないため、住宅が密集する都心部では、延焼を防ぐ効果が期待できます。鉄筋自体は熱に弱いですが、コンクリートが守ってくれるため強度は変化せず、有毒ガスも発生しません。

RC構造は隙間ができないようにコンクリートを流し込んで造られるため、壁や床の密度が高くなり、防音性も高いです。外の音が聞こえにくいのはもちろん、室内の音もほとんど漏れません。

また、RC構造は鉄筋による引張力に強い特性と、コンクリートによる圧縮力に強い特性をあわせ持っています。そのため、耐震性能も高く地震が多い日本でも安心です。

デメリット

RC構造は部材が高額かつ、工期も長くなるため人件費も嵩みがちです。そのため、全体の建築費用が高くなりやすいのが欠点といえます。

また、コンクリートは温まりにくく冷めにくいという特性があり、夏は暑く、冬は寒くなりやすいです。冷暖房の使用機会が増え、電気料金が高くなる可能性があります。

コンクリートは気密性が高く、湿気が抜けにくいため、結露も発生しやすいです。結露が発生するとコンクリートが劣化し、ひび割れなどによって強度が落ちてしまいます。さらに結露が原因でカビが生えると建物の資産価値が下がるため、防水処理など各種対策を行いましょう。

そして、丈夫ゆえに、リフォームやリノベーションがしにくい点も短所です。建築材自体も高いため、将来的に増改築を検討している場合は、おすすめできません。

SRC構造

鉄骨と鉄筋コンクリートを組み合わせた構造がSRC構造です。主にタワーマンションや高層ビルなどの高層建築物に採用されている構造ですが、どのようなメリットとデメリットが存在するのか解説します。

メリット

SRC構造は数ある構造のなかで、最も強度が高いです。ラーメン構造を形成しており、地震や風力による揺れを分散します。法定耐用年数も47年のため、定期的なメンテナンスを怠らなければ長期的に住むことも可能です。

また、強度が高いため、少ない本数の柱で大きな空間を作れます。そのため、部屋の面積を広く取ることが可能です。コンクリートを採用しているおかげで、防音性や防火性も高くなっています。

デメリット

SRC構造は、費用が高くなりやすいのがデメリットです。耐震性と耐火性、防音性に優れている建物ということは、それに見合う費用がかかっています。複雑な工程は工事期間も長期化しやすく、人件費も高くなりがちです。

また、鉄骨は制約があるため、鉄筋コンクリートのように自由度の高い設計は実現できないでしょう。自由に自分の好きな住宅を建てる場合は、ほかの構造を採用するのをおすすめします。

RC構造と木造を比較

ここまでRC構造を含め、さまざまな構造について取り上げてきました。続いて、RC構造と日本では一般的な構造である木造を比較してみましょう。住宅の購入を検討している人は、両者の比較も参考にしつつ、構造選びをしてください。

耐震性・断熱性

耐震性は、鉄筋コンクリートを使用しているRC構造の方が優れています。ただし、近年は地震にも強い木造住宅も開発されているため、実際の設計や工法によるところが大きいといえるでしょう。

断熱性は、温まりにくく冷めにくいコンクリートを使用しているRC構造よりも、熱をとおしにくい木材を使用している木造住宅の方が高いです。とくにヒノキやスギなどは断熱性が高い素材として知られており、冬は快適な室温を保ってくれるでしょう。

建築期間

一般的な2階建て木造住宅を建てる場合、建築期間は4〜6か月程度です。単純な形状の住宅や地盤改良も必要としないケースでは、最短だと2か月で住宅が完成します。

RC構造の場合、早ければ6か月程度で工事は完了します。ただし、土地の状態によっては杭工事などを施工する工期もプラスされるため、実際には8か月程度かかるケースが多いです。また、どちらも複雑な設計を採用する場合、等しく建築期間は長くなります。

建築費用

一戸建て木造住宅の相場は、3,000万円程度です。使用する素材や設備のグレードによっては、1,000万円程度まで費用を抑えられます。

一方のRC構造は、一戸建てを建てるためには特別な建材や設備が必要です。そのため、建築費用が木造住宅の倍近くまで跳ね上げるケースも少なくありません。

最終的な建築費は、建築現場の条件や建物の規模、設計など複数の要因によって決まります。そのため、必ず木造住宅の方が安くなるとは限りません。

維持費用

木造住宅は、一度のメンテナンスの依頼で約10〜100万円程度が必要です。大規模な修繕が必要な場合は、1,000万円以上かかるケースもあります。

RC構造の場合、年間5〜30万円程度維持費用が必要です。主なメンテナンスの内容は錆や腐食対策ですが、木造住宅と異なりRC構造は耐久性が高く、大規模な修繕が必要となるケースは多くありません。そのため、木造住宅と比較すると、維持費はそこまでかからないでしょう。

木造はこんな人におすすめ

木造住宅は、安価に住宅を建てたい人におすすめです。木造住宅は施工に大掛かりな重機をほとんど使わず、建材を安く仕入れられます。そのため、数ある構造のなかでも木造は安価です。

木材は加工もしやすいため、間取りの自由度も高く、ライフスタイルの変化に合わせて将来間取りを変更したい人は木造住宅を選択すれば間違い無いでしょう。また、近年は地震に特化した設計の木造住宅も登場しているため、耐震性が不安という人も安心です。

タカオホームソリューションズは幅広い分野でお客様のニーズにあった建築の提案をさせて頂いております。ご質問やご依頼などございましたら、こちらからお気軽にお問い合わせください。

まとめ

以上、RC構造のメリットやデメリットを含めた基礎知識、およびそのほかの構造の特徴について取り上げてきました。RC構造を含め、それぞれの構造には利点と欠点が存在します。自分が住宅に何を求めているのか、また予算がどの程度あるのかなどを踏まえ、どの構造を選択するか決めましょう。

株式会社タカオホームソリューションズでは、RC構造を含めた各種構造の新築住宅の建築を行なっています。創業から約50年建築に携わっており、住まいに経験と実績が豊富な会社です。興味を持った人は、ぜひ公式サイトからお問い合わせください。